黄金の鍵

遡りつつ飽きるまで、観劇記録と思いつき

2014.08.09 全国立海 大阪公演 マチネ その2

続きです。三幕ライバルズ〜カテコまで
ちょっとだけライビュのことも
 
 

 

 

 
 その1冒頭で挙げたように、私の2nd本公演はルド吹が全てと言っても過言ではありません。なのでライバルズ、特に裕太と亜久津が出てきた時の感動はひとしおでした。本物の裕太が喋って、本物の亜久津がリョーマに掴み掛かっている!
 1stではライバルズ達がそれぞれの公演時の曲を歌っていたの(リメンバーのやつ)で、それを期待していたのですが、それぞれ同じメロディーで異なる歌詞の曲を歌っていたので少し面喰らいました。けれど、台詞はそのまま一緒で、テレビの中の世界だったあのルド吹が、今この場所で再演されている…そんな気分になれました。亜久津戦の「ドロップ…ボレー…こんな場面でぬけぬけと!」「オレの勝ち」をまさか生で聞けるとは思いませんでした。泣いた。
 その他には日吉の演武テニスがとにかく鮮烈でした。和楽器の笛の音に、指先がぴたりと止まった美しい構えと滑らかなラケット捌き。魅力的すぎて思わず追加写真を購入して帰りました。
 跡部様の氷の世界も凄まじかったです。これの照明がまた、まさにテニミュという感じでした。小さな水色の十字と黄色の菱形のスポットが氷の音と共に一斉に射したかと思うと、砕け散る音と共に一斉に散って…。私には無数の氷柱が見えました。
 
 実を言うと三幕、S1はあんなに楽しみにしていた幸村の試合だったにもかかわらず、あまり覚えていません。一気に試合が進んで流れて、その雰囲気に圧倒されて飲み込まれていました。
 常勝立海もデットエンドも、幸村の曲(幸村の暗闇)も、とにかく立海は荘厳という言葉がしっくりくるように思えました。赤をベースに橙・黄色の幾何学模様の照明はステンドグラス、弦楽器のような響きの曲、幸村の二つ名・神の子が相まり、教会、ひいては宗教的なもののイメージ。
 
 幸村の一挙手一投足すべてに、絶対に負けない、勝つ、叩き潰す、という気迫が篭っていました。五感を奪うテニスを始める前、地に伏せて泣き声にも似た叫び声を上げる幸村を見るのが、S3などとはまた違った意味でつらかったです。書いていてあれは悲鳴だったのかもしれないという考えも浮かんできましたが完全に思い出補正ですね…。
 
 真っ暗になった会場でぼんやりと浮かび上がるリョーマの姿に、これもまた胎内回帰なのかも?と思ったり。この時のリョーマの歌も胸が痛くなりました。テニスって…テニスって…。
 「テニスって……楽しいじゃん!」
 瞬間、フラッシュのような強烈な明るさの真っ白な光に包まれるリョーマ、天衣無縫の極み。
 反対、幸村はずっとその影になり薄暗くて、もう勝敗は決してしまったように感じられて…。せつない。
 
 青学みんなの歌に合わせてコートを縦横無尽に駆け巡り舞い踊るリョーマは、生きていました。どうしてかは分からないけれどこの時に浮かんだイメージは、真っ白な画用紙いっぱいにクレヨンで描かれた真っ青な空、鮮やかな芝生の上にネットが張られていて、そしてそこをリョーマが裸足で駆け回る、というものでした。謎極まりないです…。
 テニスって楽しいじゃん、と笑顔で言うリョーマに、そのくらい楽しく思えて夢中になれることがあるのって羨ましい、私も欲しいよ、越前リョーマ、良かったねリョーマ、とどこかでぼんやりと思っていました。
 最後のサムライドライブの瞬間、結末を知りながらも幸村の勝ちを祈らずにはいられませんでした。二つに割れたボールを返したときは、お願いもうこちらへ返ってこないで、と思わず指を組んでいました。
 閃光が弾けて暗転し、徐々に明るくなるにつれて、幸村の置いていかれたようなさみしい背中が見えて、ああ終わってしまったんだな、とすぐに悟りました。
 青学のみんなが駆け寄ってきて、ずっと笑顔のリョーマに対し、こちらに背を向けてずっと俯いている幸村。差し出された手に応えて握手をするまでがものすごくものすごく長くて、この日二度目の永遠にも感じられた時間が過ぎました。どんな顔をしていたんだろう…。
 勝ちに執着してその執念だけでサムライドライブを返した幸村は、神の子でもなんでもなくて、ただの人間で中学生でした。
 
 卒業式。みんな制服で出てくるのは反則だろうと思いました。終わりの寂しさでまた泣きそうになりましたがお尻の痛みがそれを許してくれませんでした。この辺りがピークでした…。
 乾がカチローにノートを託すところが好きです。目に見える形で残る先輩たちの足跡。
 
 桃ちゃんも海堂もトリオも、伊武も裕太も日吉も財前も金ちゃんも変わらなくて。伊武くんの日替わりネタがすごく面白かったです。修学旅行のバスは彼だけ補助席らしい。
 
 リョーマのありがとうの歌(当時はそう呼んでいました)。これは越前リョーマというより小越勇輝の歌だ…とワンフレーズ聞いてなんとなく感じました。「なにくそって ここまでやってきた」という歌詞が、その日以来頭から離れません。悔しかったり上手く行かないことがあったりした時、私の母はいつも私に向かって「そういう時はなにくそ、と思って折れずにやってみろ」と言っていました。その二つが、この瞬間にここで繋がりました…。超個人的な話ですが…。
 
 歌い終えたリョーマの元に歩み寄る手塚、そしてライバル達。あ、これダイジェストで見たやつだ!と某通信講座のCMのような言葉を内心発していました。
 そうして始まったフィナーレメドレーですが、THIS IS THE PRINCE OF TENNISのイントロが聞こえてきて驚きすぎて息が止まるかと思いました。つい先日に1st初演DVDを観たばかりでした…。こういう原点にして頂点みたいな演出、大好きです…。
 
 アンコール曲はリズム感がおかしい私にとってはとても大変でしたが、一緒に同じ曲に参加している!というパーカッションの時のような楽しさにまた大興奮していました。
  客席降りの二階は青学ゴールデンと立海関東D2で、近くにきてくれたのは味方さんもとい柳生でした。間近で見たら顔が整っているのが本当によく分かって同じ生き物だとは思えませんでした…。この日のコーレス立海担当も味方さんで、「私がベンチの王子様なら皆様はベンチのお姫様です!」というお言葉を頂きました。前アナ+コーレス+客席降りの味方コンボで陥落しないはずがありませんでした…。ちょろすぎる自分。
 
 とにかく最高の4時間でした。偶然が重なって奇跡のような機会で観に行けた初めての舞台、初めてのテニミュがこの日のこの公演で良かったな、と今でもふと思います。
 大千秋楽のライブビューイングも観ました。試合終了後の幸村の握手までの時間はやっぱり永遠で。「立海大付属、ありがとうございました」の時の泣き顔は、私が今まで見た中で一番うつくしい泣き顔と涙でした。今でも忘れられないし、絶対に忘れません。
 
 ほんの少しだけでも、テニスの王子様たちと同じ夏を過ごせて本当に幸せでした。